がん治療の近未来
癌という無法者に法と秩序を適用することがいよいよ現実的になってきている。
そう、あなたのゲノムはパーソナル対応の治療のための最強の医学書なのだ。
と同時に、あなたのパーソナルな歴史書でもある。
癌はゲノムの病気であり、特定の遺伝子が細胞を異常増殖させるように変異してしまうことから生じる。(癌はゲノムの病気を参照)
癌についての理解はさらに深まっている。
米国立癌研究所と米国立ヒトゲノム研究所による『癌ゲノムアトラス(TCGA:The Cancer Genome Atlas)』というプロジェクトがある。
癌細胞の全DNA配列を調べ、数百種存在する癌の遺伝子変異をすべて突き止めようとしているのだ。
癌ゲノムアトラスの追跡は、遺伝子変異の累積により正常な細胞が悪性化することを示してくれた。また、顕微鏡で見ただけでは同じに見えたそれぞれの癌細胞が、DNAレベルでは大きく異なることも示してくれた。
同じ分類の癌でも人によって進行度や治療への反応が違うのは、DNAレベルで違うからなのだ。
そして癌を遺伝子変異別に再分類する作業もすでに始まっている。
この先、そう遠くない将来に、すべての癌は遺伝子レベルで詳細に分類され、全DNA配列が解析されるだろう。そして遺伝子変異に合わせた分子標的治療もできるようになるだろう。
実際パーソナル化されたがんの分子標的治療の時代ははじまっている。
EGFR遺伝子変異のある肺癌にたいするイレッサや、ALK融合遺伝子のある肺癌にたいするザーコリなどは、それぞれ特定の遺伝子変異にもとづく分子標的治療である。
(参考)
さぁ、あなたも遺伝子検査を受け、パーソナルゲノム医療専門医に相談し、パーソナルゲノム医療を始めよう!