アロマセラピーで嗅覚を刺激しよう 〜アルツハイマー病の予防
海馬や海馬に直結する嗅神経は再生能力が高い。
香りで刺激すれば嗅神経と海馬が活性化され、認知症を予防・改善できる!
〜 鳥取大学医学部 保健学科生体制御学講座 浦上克哉 先生 より
「母はにおいがまったくわからないみたいです・・・」
アルツハイマー病の患者の家族と話をすると、『料理の焦げたにおいがわからない』、『異臭のする腐ったものを平気で食べようする』など嗅覚障害について相談されることがある。
近年、嗅覚機能の低下がアルツハイマー病の前兆である可能性を示唆する研究がいくつか報告されている。においを識別することができなくなるほど記憶力が低下しやすくなるのだ。
この嗅覚と記憶の関係は人の進化の過程を考えると理解しやすいかもしれない。嗅覚の脳への経路は、他の感覚と同じではないからだ。
人の祖先はまず嗅覚を進化させることで環境の変化に適応してきた。
においがわかるようになるとそれを『快 or 不快』の感情(扁桃体)で判断し、そしてその情報を記憶(海馬)する能力も自然と進化した。この領域を大脳辺縁系という。
それ以外の感覚(視覚、聴覚、味覚、触覚)は、合理的で分析的な思考や、言語機能をつかさどる能力とともに獲得してきた。この新しく獲得した領域を大脳新皮質という。
つまり進化の過程においてにおい(嗅覚)と記憶(海馬)には密接なつながりがある。
このにおいと記憶の密接なつながりを治療に有効利用するおもしろい試みがある。
アロマセラピーで嗅覚を刺激し、嗅覚と記憶力を改善(海馬における神経細胞の再生)させ、アルツハイマー病(AD)を予防&治療しようというのだ。
施設に入所中の高齢者28人にアロマセラピーをして認知機能が改善するかどうかしらべた。すると海馬が萎縮することが特徴的なアルツハイマー病の患者で有為に記憶が改善した。
《アロマセラピー内容》
9時〜 ローズマリー2滴&レモン1滴(集中力を高め、記憶力を強化)
19時30〜 ラベンダー2滴&オレンジ1滴(心や身体への鎮静作用)
この結果が再現性があるのかはわからないが、アロマセラピーという伝統療法を試してみる価値はあるのではないだろうか。
実際にアロマセラピーを導入している施設やリハビリステーションで『ラベンダーでよく眠れるようになった』『ローズマリーで頭がすっきりする』という話を聞く。
わたし自身もラベンダーのアロマを1〜2滴お風呂にいれるようにしてから、リラックスしてぐっすり眠れるようになった気がする。(個人的な感想です)