MODY 25歳未満発症の遺伝性糖尿病 【ゲノムで知る病気のリスク第3回】
学校検尿で尿糖を指摘されたことはありませんか?
やせ型であるにもかかわらず、若いときから糖尿病と診断される家系ではありませんか?
若年(通常25歳未満)で肥満がないのに糖尿病と診断され、親や兄弟も糖尿病の場合、
MODY(maturity-onset diabetes of the young)が疑われます。
🔵 MODYとは
MODYは常染色体優性遺伝(単一遺伝性疾患)で、
膵臓のβ細胞の機能不全によりインスリン分泌能が障害されるのが特徴です。
原因遺伝子は6種類同定されていますが、原因不明のものも存在しています。
🔵 MODYの頻度
実際、学校検尿での尿糖が診断契機となった56名を含む、
79名の20歳未満の糖尿病の症例を調査したところ、MODY遺伝子の変異が38名、
約半数に認められたとのことです。(参考①より)
若年発症の糖尿病の原因として、MODYは稀な病気ではないのではないかと思います。
🔵 MODYの臨床診断
1975年に TattersallとFajansらは以下のようにMODYを定義しました。
①25歳未満で糖尿病と診断
②3世代以上の糖尿病家族歴
③各世代において兄弟の約半数が糖尿病と診断
他にも下記であれば臨床的にMODYと診断する立場もあります。
①25歳未満で糖尿病と診断
②少なくとも親兄弟に25歳未満で糖尿病と診断された方が1名以上
つまり若いときから糖尿病と診断されて、若いときに糖尿病と診断された家族がいる場合は、MODYと診断される可能性があります。
🔵 MODYの遺伝子検査
MODY遺伝子検査は保険適応がなく、自費診療になります。(2015年2月現在)
医療機関で遺伝子検査を受ける場合は、本人と家族が遺伝子検査について正しく理解した上で検査に同意するという手順が必要です。
まずはかかりつけの糖尿病専門医に相談してみましょう。
MODY遺伝子検査を受けることによって、遺伝子の変異に合わせて的確な治療を受けられるようになります。
《MODY遺伝子検査実施医療機関》
東京女子医大病院附属遺伝子医療センター
パーソナルゲノム医療が実現し、
誰でも気軽に遺伝子検査を受け、その結果を簡単に医療に活かせるようになればと思います。
《参考》
①岩﨑直子ら:MODY原因遺伝子の現状と診断の進め方:医学のあゆみ,244巻12号,p.1030-1034