ナノポアシークエンサーでゲノムビックデータが誕生するか!?
DNAを構成するA(アデニン)T(チミン)C(シトシン)G(グアニン)の塩基配列をコンピュータで読めるように解析することを『DNAシークエンス』とよび、その解析装置を『DNAシークエンサー』とよぶ。
現在利用されているDNAシークエンサー(第2世代)は、DNA断片をテンプレートとし、1塩基ずつ再合成する時の蛍光強度を検出し、塩基配列を決定する。米国のイルミナ、ライフテクノロジーズ、スイスのロシュの3社が世界市場をほぼ独占している。
そこへ第3世代(最終世代)DNAシークエンサーが実用化への扉を開きはじめている。
2013年11月、英オックスフォード・ナノポア・テクノロジーズ社がナノポアシークエンサーの試験販売(早期利用プログラム)を開始した。
このナノポアシークエンサーは、ポリマー膜に作られたナノポアと呼ばれる小さな穴を1本鎖DNAが通過するときのイオン電流の変化を検出し、塩基配列を決定する。
価格は$1000(約10万円)、大きさはスマートフォンの半分程度で、パソコンのUSBポートに接続して利用するらしい。
日本では大阪大学産業科学研究所の川合知二特任教授らが、東芝や東レと共同でトンネル電流によって塩基配列を決定する『ナノポアシークエンサー』の研究&開発を行っており、この技術を事業化するために大学発ベンチャー企業「クオンタムバイオシステムズ株式会社」も立ち上げている。
将来的にナノポアシークエンサーの技術が進化して、1万円前後、数時間でDNA解析ができるようになるだろう。しかもシークエンサーの大きさは携帯電話ぐらい。
そうなると気軽に病院やクリニックで個人が自分のゲノム(生命の設計図)情報を知ることができるようになる。
そして個人のDNA配列と生活歴、病歴などを合わせたゲノムビックデータが誕生するかもしれない。
日本が世界にさきがけて、ゲノムビックデータを誕生させることができるようパーソナルゲノム医療学会とともに貢献したい!
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