睡眠は脳の老廃物を洗い流す 〜Glymphatic systemがアルツハイマー病を防ぐ
脳脊髄液の機能と睡眠についてにわかに注目されつつある。
以前、脳脊髄液は脳の周りを自然に循環して、神経細胞に栄養を与えたり、老廃物を除去すると考えられていた。
ところが現在、脳脊髄液は自然な拡散だけでなく、ポンプのような機能によって脳の周りを循環し、能動的に脳の老廃物を排出していることがわかっている。
この循環システムを”Glymphatic system(グリンパティックシステム)”という。
2013年10月、ロチェスター大学のMaiken Nedergaard博士らが驚くべき研究結果を発表した。(動物実験による)
眠っているときは、脳細胞間の隙間が約60%広がり脳脊髄液がより速く、より自由に脳内を流れていたのだ。脳の老廃物は脳脊髄液によって排出されるが、そのスピードが睡眠中に増加する。
この排出される老廃物の中には、蓄積するとアルツハイマー病の発症につながるとされているアミロイドβも含まれている。
睡眠の質とアミロイドβの蓄積の関係を、あのDIAN研究で有名なワシントン大学が調べていた。(DIAN研究は、30代からはじまる脳の変化 〜家族性アルツハイマー病を参照)
その結果も睡眠が脳をきれいにしていることを示している。
グラフみると、よく眠れている(睡眠効率90以上)とアミロイドβを蓄積している人が少なく、一方、睡眠の質が悪い(睡眠効率75以下)とアミロイドβを蓄積している人が多いことがわかる。
(下図)
睡眠がアルツハイマー病の発症にどれくらい影響を与えるかはまだわからない。
しかし、睡眠の環境を整えて良質な睡眠をとることはアルツハイマー病を予防するうえで重要なことだと思う。
あなたは就寝前に携帯電話をさわって睡眠の質を低下させていませんか?
(参考)