薬はなぜ人によって効果が違うのか
薬剤治療で医者にとっても患者にとっても最大のフラストレーションになるのは、
薬が期待したとおりに効かないことだ。
日常診療をしていると、薬の効果が個人によって違うことをしばしば経験する。
ある病気の患者がその病気の標準の薬を通常用量で飲んで、期待したとおりの効果があるのは平均すると70〜80%ぐらいにとどまる。
残りの患者には効果がないか、副作用が出ることがある。薬の種類によって効果がある人の割合は変わるが、すべての人に有効な薬というものに出会ったことがない。
病気のなりやすさや体質が遺伝子の影響をうけるのと同じように、薬の効果もやはり遺伝子の影響をうける。
遺伝子の多様性が薬剤にどう影響するのかを説明する前に、薬の典型的な吸収、代謝メカニズムを知っておこう。
一般的な飲み薬は、胃から腸で吸収されて、肝臓に運ばれる。肝臓で初回代謝された後、血管を通って身体の組織へ届けられる。そして再び肝臓で代謝されたり、腎臓で処理され体外に排出される。
くすりとからだの関係に影響を与える腸での吸収、肝臓での代謝(酵素)、身体の組織(受容体)、腎臓での処理には、それぞれ遺伝子レベルでの個人差がある。
このため同じ量の薬を飲んだとしても、人によって血液中のくすりの濃度に違いが出てくる。血液中のくすりの濃度が高すぎると副作用が出るし、低すぎると効果がない。
また同じ血液中の濃度でも身体の組織(受容体)と薬の親和性(結合力)によっても効果が得られなかったり、有毒になったりする。
この薬の効果が人によって違うという問題を解決するための学問があるのをご存知だろうか?
その学問をゲノム薬理学という。
(参考)
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