『パーソナルゲノム医療』時代のはじまり

個人個人の遺伝子を解析し、それぞれに適した医療をする時代がすぐそこに

遺伝情報差別禁止法の成立に向けてウェブ署名を始めました

遺伝情報差別禁止法の成立にむけて、

change.orgの提供するサービスを利用してウェブ署名活動を始めました。

 

 

署名活動の内容

遺伝情報による差別を禁止する法律(遺伝情報差別禁止法案)の成立を目指します。

 

 

f:id:Personalgenome:20150502085307p:plain

 

 

皆様、1人1人の署名により、

政府、政治家の方々に遺伝情報差別禁止法案の必要性を訴えることができ、

遺伝情報による差別のない未来を実現することにつながります。

何卒、ご協力の程よろしくお願い致します。

 

 

パーソナルゲノム医療の商標使用料免除のご案内

私たちはパーソナルゲノム医療の発展および普及のために活動しており、

「パーソナルゲノム医療」の商標使用料は現在、全額免除としています。 

 

■対象者 日本国内の企業・団体および個人

■使用許諾料・証紙代 免除 

 

※なお、営利目的での使用は、日本パーソナルゲノム医療学会にご連絡ください。

■お問い合わせ先 

日本パーソナルゲノム医療学会 Email:Personalgenome.jp@gmail.com

遺伝情報差別禁止法

どんなに頑張っても就職できない・・

生命保険に加入しようとしても、なぜかすべて断られてしまう・・

結婚相談所に登録しようとしたら、理由もなく断られてしまう・・

 

近い将来、これらの差別があなたやあなたの子供にもおきてしまうかもしれません。

 

 

🔵安価&簡易になる遺伝子検査

2001年には人1人の全ゲノム(遺伝情報)解析費用は約1億円($100M)していましたが、現在では10万円($1000)以下になろうとしています。(下図参照)

f:id:Personalgenome:20150427110609p:plain

 

調べる対象(検体)も唾液や頬の粘膜でよく、医療従事者でない一般の方でも簡単に採取できます。

 

今後も遺伝子検査が安価&簡易になる流れは加速していくことが予想されます。

 

次世代のDNA解析機(DNAシークエンサー)が実用化されれば、 解析費用は数千円程度と格段に安くなり、また検査にかかる時間も数時間と、簡単かつ迅速に遺伝情報を調べることが可能になるでしょう。

 

遺伝子検査が安価かつ簡易になれば、それだけ遺伝子検査を受けやすい環境になります。 

 

  

🔵売買される究極の個人情報

名簿業者などは、企業の従業員や顧客名簿、学校のクラス名簿などを集め売却しています。

 

今後売買の対象になるのが、究極の個人情報である遺伝情報ではないかと危惧します。

f:id:Personalgenome:20150427122857p:plain

 

遺伝子検査会社は、個人の遺伝情報を万全のセキュリティで保護していますが、どんなにセキュリティが高くても情報漏洩する可能性があります。

 

また、消費者直販の遺伝子検査ですと、他人になりすまして遺伝子検査をすることが可能です。つまり、他人の唾液や髪の毛などを入手して検査し、その人の遺伝情報を不正に取得することが出来ます。

 

個人情報を売買している名簿業者が、あなたの遺伝情報を取得、売買する日がくるかもしれません。

 

そしてあなたの遺伝情報を、企業が就職のときに利用したり、保険会社が保険の加入時に利用したり、結婚相談所が登録時に利用したりする可能性が示唆されます。

 

 

🔵遺伝情報差別禁止法の必要性

私たちは遺伝子検査の普及に貢献し、パーソナルゲノム医療の実現をめざしています。 

 

パーソナルゲノム医療が実現すると、あなた自身に最も適した医療を受けることが出来ます。ところが、光あれば陰ありで、遺伝子検査により『差別』につながる可能性もあります。 

 

米国では遺伝情報差別の可能性を非常に重く認識して、2008年に遺伝情報差別禁止法が成立しています。これにより、医療保険や雇用に関連して遺伝情報により差別することが明確に禁止されています。

しかし、日本では遺伝情報と差別に関する法律は存在していないのが現状です。

 

私たちは、安心して遺伝子検査を受けることが出来るように、

遺伝情報差別禁止法の成立を目指します。

 

f:id:Personalgenome:20150502085307p:plain

 

 

高血圧【遺伝子検査の比較】

高血圧とは、上の血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上または下の血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上が持続している状態です。

高血圧の状態が続くと血管が老化(動脈硬化)し、脳卒中心筋梗塞、腎不全などを発症しやすくなります。

 

 

🔵評価しているSNP

MYCODE

rs13333226

 

HealthDataLab

①rs11646213 

 

23andme

該当項目なし

 

🔵実際の解析結果(発症リスクの比較)

性別 / MYCODE / HealthDataLab / 23andme

①男性/ *1.01倍/ *0.90倍/  評価なし  

②男性/ *1.01倍/  0.90倍/  評価なし

③男性/  1.01倍/  1.48倍/  評価なし

 

*23andmeで解析したSNPの生データにより算出しています。

 

 

🔵比較のまとめ

よくある病気の一つの高血圧症ですが、MYCODEとHealthDataLabともに採用しているSNPは1つです。23andmeは高血圧の項目自体が存在していない状況でした。

 

高血圧を評価するための論文は、MYCODEとHealthDataLabともに欧米の研究を参考にしています。日本人にこの結果が適応できるかは未知です。

 

臨床的には塩分を控えても控えても高血圧の方がいる一方で、塩分制限しなくても血圧が低い方、逆に塩分を摂取しても摂取しても血圧が低いままの方もおられます。

そういう状況を考えると、ゲノム(体質)と高血圧にはなんらかの目立った関係があると考えていますが、今回の比較ではその関係を知ることは出来ませんでした。

 

今後、ゲノムと高血圧の関係についての進歩が望まれます。

 

 

 

2型糖尿病【遺伝子検査の比較】

糖尿病は慢性的に血糖値が上昇する病気です。

糖尿病を放置すると失明したり、手足がしびれたり、腎臓が悪くなり透析が必要になったり、脳梗塞心筋梗塞などを発症しやすくなります。

 

 

🔵評価しているSNP

MYCODE

① rs7612463 ② rs6769511 

③ rs7656416 ④ rs2206734 

⑤ rs515071   ⑥ rs2383208 

⑦ rs7901695 ⑧ rs2237892 

⑨ rs7172432

 

HealthDataLab

① rs2237892 ② rs2383208 

③ rs6815464

 

23andme

① rs7903146 ② rs1801282 

③ rs5219       ④ rs4402960 

⑤ rs1111875 ⑥ rs4712523 

⑦ rs13266634 ⑧ rs2383208 

⑨ rs2237892

 

 

🔵実際の解析結果(発症リスクの比較)

性別 / MYCODE / HealthDataLab / 23andme

①男性/ *0.36倍/ *0.60倍/  0.59倍  

男性/ *1.10倍/  1.22倍/  0.87倍

男性/  0.59倍/  0.60倍/  0.78倍

 

*23andmeで解析したSNPの生データにより算出しています。

 

 

🔵比較のまとめ

各社共通して評価しているSNPが2個ありました。他の15個のSNPは各社が独自に根拠があると判断して評価しています。

このため発症リスクは検査会社によってばらつきがあります。②男性ではHealthData Laboと23andmeで正反対の結果が出ています。

 

各社の参考文献をみてみると、

MYCODEは、理化学研究所を中心とした研究グループが、日本人の2型糖尿病患者と健常者を網羅的(1000人以上)に解析した論文をもとに評価しています。

HealthDataLabは、糖尿病に関連しているとされる3遺伝子の最新レビュー論文をもとに評価しています。

23andmeは、設立時期(2006年)から2008年の間に提出された論文をもとに評価されています。

 

個人的な印象として、

MYCODEは日本人を対象とし、HealthDataLabは遺伝子を対象とし、23andmeは設立時期を対象として評価しているように感じました。

(*参考文献を精読し、私たちに詳しく説明してくださる方大歓迎です。)

 

 

リンチ症候群 【ゲノムで知る病気のリスク第4回】

あなたの家族(血縁者)に50歳未満で大腸がんになった人はいませんか?

大腸がんだけでなく、子宮内膜がん、卵巣がん、泌尿器系がん、胃がんなどを合併していませんか?

 

家族に大腸がん、子宮内膜がん、小腸がん、腎盂・尿管がんと診断された方が3名以上いる場合は、リンチ症候群が疑われます。

 

 

🔵リンチ症候群とは

リンチ症候群は常染色体優性遺伝(単一遺伝性疾患)で、

若くして大腸がんを発症し、それ以外の臓器でもがんを発症するのが特徴です。がんの平均発症年齢は43歳ー45歳と考えられています。

原因は、DNAミスマッチ修復遺伝子(MSH2、MLH1、MSH6、PMS1、PMS2)の病的変異です。

f:id:Personalgenome:20150402123433p:plain

 

 

🔵リンチ症候群の頻度

全大腸がんの約2−5%程度がリンチ症候群によるものといわれており、頻度の高い遺伝性腫瘍の一つとされています。

リンチ症候群の人では約80%が生涯の間に大腸がんを発症し、また女性では約60ー70%が子宮内膜がんを発症すると報告されています。

 

 

🔵リンチ症候群の臨床診断

リンチ症候群が疑われる状況について遺伝性大腸癌診療ガイドラインに記載されています。その内容を解釈すると、

 

血縁者3名以上が大腸がん、子宮内膜がん、小腸がん、腎盂・尿管がんに罹患しており、かつ、以下のすべての条件に合致していること

①罹患者の1名は他の2名の第1度近親者(両親、兄弟、姉妹、子供)であること

②2世代にわたり罹患者がいること

③罹患者の1名は50歳未満で診断されていること

 

 

上記のリンチ症候群が疑われる状況を満たすようであれば、一度かかりつけの医療機関に受診することをおすすめします。

医療機関ではさらに詳しい問診があり、リンチ症候群が疑われる場合は、リンチ症候群の初期検査(MSI検査)をします。(3割負担での検査の自己負担額は6000円です。)

 

 

🔵リンチ症候群の遺伝子検査

初期検査の結果と家族歴をふまえて遺伝カウンセリングを実施します。

最終的にリンチ症候群と診断するための遺伝子検査をうけるかどうか判断することになります。

 

リンチ症候群と診断された方は、リンチ症候群によって発症リスクの高いがんを早期発見するための検診が推奨されています。

定期的に検診を受けることで生存期間が延びることが証明されています。

 

 

《リンチ症候群の遺伝カウンセリング実施医療機関》

星総合病院 外科

栃木県立がんセンター がん予防・遺伝カウンセリング外来

埼玉県立がんセンター がん遺伝カウンセリング外来

国立がんセンター中央病院 遺伝相談外来

癌研有明病院 遺伝子診療センター外来

慶応義塾大学病院 遺伝相談外来

佐々木研究所付属杏雲堂病院 消化器科/外科

信州大学医学部付属病院 遺伝子診療部

京都大学医学部付属病院 遺伝子診療部

国立病院機構 四国がんセンター 家族性腫瘍相談室

国立病院機構 岩国医療センター 外科

 

 

 

リンチ症候群は、がんそのものには明確な特徴が少ないため、その多くが見逃されていることが指摘されています。

 

もしあなたの家族でがんになる人が多いなと感じたら、一度リンチ症候群を疑ってみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

予防と早期発見(人間ドック&健康診断)のまとめ

予防は治療にまさる by デジデリウス・エラスムス

病気を治す医者より、病気を予防する医者のほうが名医である by 中国の故事より

 

【予防】

①血管  血管を老化させない

②筋肉  サルコペニアにならない

③神経  アルツハイマー病の予防

④骨   骨粗鬆症を予防

⑤腰   腰痛の大部分は『見えない腰痛』 〜見えない腰痛は自分で治そう! 

⑥腸   腸内フローラを活かして健康に 

 

【早期発見】

①脳動脈瘤      脳ドックのススメ

②腎不全       尿検査のススメ 

③肝硬変(肝臓がん) 血液(肝酵素)検査のススメ 

④大腸癌       便潜血検査のススメ

⑤胃癌        尿素呼気試験のススメ

⑥子宮頸癌      子宮頸癌検診のススメ