『パーソナルゲノム医療』時代のはじまり

個人個人の遺伝子を解析し、それぞれに適した医療をする時代がすぐそこに

パーソナルゲノム医療は医療情報革新であり、医療2.0だ!

インターネットが利用されはじめた頃のことを覚えていますか?

当時はホームページに記載されている情報を一方的に受け取るだけでした。

 

それが2005年頃からWeb2.0という情報革新が始まりました。

ネット上の掲示板やブログ、SNSを通して誰もが情報を発信することが可能になり、誰もがその情報にアクセスすることが可能になりました。

 

ティム・オライリーWeb2.0を以下のように定義しています。

旧来は情報の送り手と受け手が固定され送り手から受け手への一方的な流れであった状態が、送り手と受け手が流動化し誰でもがウェブを通して情報を発信できるように変化したwebを「Web 2.0 」とする  

                        (Wikipedia Web2.0より抜粋)

 

このWeb2.0という 情報革新は現在では当たり前になりましたが、本当にすごいことだと思います。

 

例えば世の中の情報を知ろうと思うと、

Web2.0以前では新聞やテレビのニュースが最先端であり、最も正確でした。

ところがWeb2.0以降ではブログやSNSTwitterなどが玉石混合ではありますが、最先端かつより専門的、詳細になっていると感じています。

 

 

同じような情報革新が医療の分野でもはじまろうとしています。

 

今はまだ、医療機関から患者へ医療情報が一方的に伝わっていますが、

今後は医療情報の最適化に一般の人たちがウェブ(スマートフォンウェアラブル端末)を通して参加し、 誰でもその情報にアクセスできるようになります。

 

具体的には、

ウェブ上のサーバーに登録することに同意した個人個人が、匿名で遺伝情報や生活情報を送信し、病気との関連などを含めてビックデータを構築します。

そしてそのビックデータを誰もが閲覧、検証、利用することができるようになります。

 

そうなることによって、劇的に医療情報は進歩するのではないでしょうか。

とくにヘルスケア、予防医療の分野での成果は目覚ましく、著しく健康寿命が長くなると思います。

 

まさにこれこそが医療2.0であり、パーソナルゲノム医療時代の到来です。

 

 

医療2.0を定義してみます。 

 『世の中の不特定多数の人々を受動的な医療サービスの享受者ではなく、能動的な医療サービス構築の参加者と認めて、積極的に巻き込んでいくために医療システムやネットワークが変化した利用状態のこと』

 

 

パーソナルゲノム医療を目指すことによって、

健康で長生きができる未来を実現していきましょう。

 

 

 

【パーソナルゲノム医療への道 No2】 自分に合ったダイエット法とは? FiNCダイエット家庭教師

健康のために、

 美しくなるために、

  いまよりも体重を減らしたい!

 

 

ほとんどの人が体重を減らそうと挑戦したことがあるのではないでしょうか?

 

私もダイエットで試行錯誤しました。

その中で一番効果があったのは糖質制限でした。

だから、ダイエットといえば糖質制限ダイエットをおすすめしています。

 

しかし、全員が糖質制限をするかといえば、糖質は絶対控えたくないという方が存在するのも事実です。

そういった方はどうしたらよいのだろうかと疑問に思っていました。

 

 

その疑問に対して、

昨日のWBSで特集されていたサービス、『FiNCダイエット家庭教師』が面白いと感じました。

 

このサービスは、体重を減らすために過度の食事制限や運動をさせるのではなく、

まずは自分の体質を知り、それに適した方法で、生涯にわたって継続できるダイエットを提案してくれます。

 

自分の体質を知るために、血液検査や生活習慣のアンケードだけではなく、遺伝子検査も実施しています。遺伝要因、環境要因を分析し、なにが必要で、なにがダイエットの壁になっているのかを把握します。

 

そして管理栄養士やトレーナーが、その人個人個人に適した食事メニュー、運動メニュー、サプリメント情報などを提供してくれます。

 

プランは『ライト』『スタンダード』『パーフェクト』と3つあり、

それぞれ価格は98000円、198000円、298000円です。

 

サービス開始からすでに1000人以上の方が利用されているとのことでした。

 

価格は高いように感じますが、実際の利用者が

『生涯の健康を考えると10万円程度なら安いと思います。』

とインタビューに答えていたのが印象的でした。

 

代表の溝口さんは、

『ダイエットから予防へ!世界一の健康×IT企業』

を目指しているとのことです。

 

 

予防やヘルスケアの分野に関心をもつ人が増えているだけでなく、未来の健康のため、未来の自分のために、実際に行動&投資しようという人が増えているようです。

 

株式会社FiNCが提供するサービスによって、

誰もが自分の体質をしり、個人個人に適した健康的な生活を送れる時代(パーソナルゲノム医療時代)に、また一歩前進していることに対して嬉しく感じました。

 

【パーソナルゲノム医療への道 No1】 〜富士通がゲノムや生活習慣情報のビックデータを構築・解析

2014年は、

パーソナルゲノム医療をどのように実現していくのかということを、ブログで紹介したり、一般の方を対象に講演会をしたりしてきた。

 

パーソナルゲノム医療に興味を示す方が着実に増え、実現に向けて手応えを感じていた。 

 

 

そして、2014年もいよいよ終わろうとしているとき、嬉しいニュースが飛び込んできた。

電子カルテでトップクラスの実績を誇る富士通がパーソナルゲノム医療の実現にむけて動き出したのだ。

 

 

 

 ーー 以下ニュースの要約

 

富士通は12月24日、国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立長寿医療研究センター東京医科歯科大学とそれぞれ共同研究に関する協定を結んだと発表した。

 

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ICT(情報通信技術)を導入することによって、遺伝情報(ゲノム)、生体分子情報(オミックス)、生活習慣情報と診療情報を統合し、データの解析技法の確立を目指す。

 

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同時に認知症などの疾患を早期発見するシステムも構築していく。 

 

 

富士通の未来医療開発センターでは、5つの事業を推進していると紹介し、

①次世代医療情報システムビジネスの開拓

②医療ビッグデータビジネスの創出

③生体シミュレーションビジネスの事業化推進

④IT創薬の事業化推進

電子カルテなどのグローバル展開

 

既にIT創薬の分野では、がんを標的にする化合物の創出に成功した。健康長寿社会の実現に向けて、今回の共同研究を進めて行きたいとのこと。

 

ーー 要約 終わり

 

 

富士通のような一流企業が、実績のある医療機関と共同でゲノムビックデータの構築を始めようとしている。

 

ますますパーソナルゲノム医療の実現に近づいたと感じるのは私だけだろうか・・

 

2015年にどんな進歩が待っているのか、とても楽しみである。

 

 

《参考》

富士通が4つの医療機関と共同研究を推進、ゲノムや生活習慣情報をビッグデータ解析:ITpro

富士通、ICTを活用した医療モデルの構築を目指し国立がん研などと共同研究 | マイナビニュース

 

 

HealthData Lab  体験記No1

Yahoo!Japanヘルスケアが提供する一般消費者向け遺伝子検査『HealthData Lab』が11月よりサービスを開始しているので、早速Yahoo!JapanヘルスケアのWebで申し込んでみました。

 

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数日でシンプルに洗練された箱が届きました。

 

内容物は外箱含めて7点。

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他に別紙として、解析項目一覧などが含まれていました。

 

 

①マイページで利用登録をする

 1.https://my.health.yahoo.co.jp/gene/にアクセス

 2.外箱の中にはいっている解析IDを入力

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 3.登録されている氏名、メールアドレスを確認して、利用規約に同意する

 4.利用登録完了、生活習慣調査の回答へ

 

 

  

②同意書を記入する

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③唾液を採取する 

①唾液を採取する前の30分間は、食事、飲酒、喫煙、ガム、歯磨きを控えます。

②リラックスして静かに頬をさすって唾液をためます。

 

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④唾液と同意書を返送する

①唾液の入ったチューブ、同意書を外箱に入れます。

②郵便局、郵便ポストに外箱ごと投函します。(※送料はかかりませんでした。)

 

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解析終了後、メールが届くとのことです。

 

いままで受けてきた遺伝子検査同様、検査の手順はわかりやすく簡単でした。

インターネットの環境さえあれば、誰でも安心して検査できそうです。

 

解析結果が届き次第、報告いたします。

 

 

 

23andMeが英国で遺伝子検査キットの販売開始

23andMeは英国で個人向けの遺伝子検査キットの販売を開始した。

(米国では2013年12月から販売中止:『23andMe販売中止』の教訓  )

 

23andMeの発表した情報(23andMe Brings CE Marked Personal Genome Service® to the UK)によると、

 

英国の研究倫理委員会は、23andMeのサービスを審査し、英国の顧客が23andMeの提供する世界最大級の遺伝子研究に参加することを承認した。

現在のところ、全世界で60万人以上の個人が、23andMeの研究に参加している。

 

英国は遺伝子研究の分野で世界的リーダーとみられていて、この分野でのイノベーションを英国政府も推進している。

23andMeも英国での遺伝子研究のプロジェクト(Genomics England’s 100,000 Genome project1)に協力していくという。

 

23andMeの最高経営責任者(CEO)である アン・ウォジツキ は、

 

『23andMeの使命は、個人個人が自分のゲノムを知ることが出来て、それを理解し、その恩恵を受けられるようにすることです。

 英国はゲノミクスの世界的リーダーであり、英国の人々のために、私たちのサービスを提供出来ることについて、非常にわくわくしています。』

 

と語った。

 

 

23andMeは、米国ではFDA(米国食品医薬品局)の販売中止命令を受け、疾患リスクを推定する遺伝子検査の販売を中止している。

しかし、政治や医学界に働きかけ、米国衛生研究所(NIH)やファイザーなどの製薬会社との共同研究は着実に進めている。

 

遺伝情報に基づくパーソナルゲノム医療の実現は、世界的な競争の中にある。

その中で23andMeが、遺伝子検査・診断のデファクトスタンダードを獲得しつつあると感じている。

 

 

日本では今年になって、DeNAライフサイエンスやYahoo!ヘルスケアなど複数の企業が遺伝子検査を始めている。

23andMeが日本で公式にサービスを始める日も近いのではないだろうか。 

 

 

パーソナルゲノム医療を実現するために、まずは日本でも質の高い遺伝子検査サービスが普及するように活動していきたい。

 

理想の未来を実現していくのは楽しい。

  

家族性パーキンソン病 【ゲノムで知る病気のリスク第2回】

パーキンソン病は、手足の震え、筋肉のこわばり、姿勢の異常、動きづらさを特徴とした病気です。

高齢化社会とともに頻度の高い病気の1つとなり、60歳を超えると1%以上の人がこの病気になると考えられています。

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パーキンソン病の5-10%程度は、遺伝性が関与していると考えられていて、家族性パーキンソン病と呼ばれています。

 

家族性パーキンソン病の中で、メンデルの遺伝形式をとる単一遺伝子が原因のものがあり、遺伝子解析の進歩により原因遺伝子が分かりはじめています。

また、複数の遺伝子が原因になっている場合でも、今後遺伝的因子が分かるようになり、それらの因子を標的にした治療が可能になることが期待されています。

 

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パーキンソン病は、症状をコントロールする治療により、一般的に寿命が短くなるということはありませんが、病気そのものを治す治療法はまだみつかっていないのが現状です。

 

しかし、パーキンソン病の根本的な治療法の発見に確実に近づいていると感じています。

 

順天堂大学などでは遺伝学的側面からパーキンソン病の研究をしているようです。。

そして、遺伝子解析に協力した患者さんには、パーソナルゲノム医療(薬の効きやすさや副作用の出やすさなどを調べ、一人一人の体質に合わせて検査、治療を行っていくこと)を提供できることを目指しているとのことです。

 

パーキンソン病と診断された方、もしくは血縁者にパーキンソン病と診断された人がいる方は、遺伝子検査について、かかりつけ医(神経内科専門医)に相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

パーキンソン病の遺伝子検査をしている病院》

順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科

独立行政法人国立病院機構 徳島病院

 

 

遺伝性乳がん 【ゲノムで知る病気のリスク第1回】

〜遺伝性乳がんの存在を、もっと世の中へ〜

 

昭和大学の中村清吾先生が、一人でも多くの女性を乳がんから救うために、遺伝性乳がんに関する情報を世の中に広めようとされています。

 

その情報をもとに遺伝性乳がんとその問題点について考えてみました。 

 

 

◉遺伝性乳がん卵巣がん症候群

乳がんになる女性は年々増え続けています。

 

1997年の乳がん罹患数3万人に対して、2010年には7万人を超えています。そして1万人以上の女性が毎年、乳がんでお亡くなりになっています。※1

 

乳がんを発症する方の中で、遺伝的要因が強く関与している割合は5ー10%程度と考えられています。

最もよく知られているのは、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and/or Ovarian Cancer Syndrome, HBOC)で、BRCA遺伝子の病的変異が原因とされています。 (乳がんの決定因子 参照:決定因子と危険因子の違い

 

BRCA遺伝子に変異のある人は、41〜90%もの人が乳がんに、8〜62%もの人が卵巣がんになってしまうといわれています。※2

また、乳がんになった後、もう一度同側または対側に乳がんを発症したり、卵巣がんを発症したりすることも知られています。

 

BRCA遺伝子の病的変異は、遺伝子検査で調べることが出来ます(2014年12月保険適用外のため自費) 。

 

BRCA遺伝子の病的変異が同定され、遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された場合は、行われる検診や予防法(パーソナルゲノム医療)が詳しく定められています。

 

 

◉遺伝性乳がんの問題点

 『そもそも日本人には、遺伝性乳がんは少ないのでは?』 という誤った認識が大問題。

 

BRCA遺伝子の一部の特異的変異は、アシュケナージユダヤ人に頻度が多いことは知られています。

 

日本人では、十数年前までは遺伝性乳がんは少ないという認識がありました。私自身も、日本人に遺伝性乳がんは少ないのではと思っていました。

 

ところが、実際の乳がん治療の現場で、

『20〜30代という若さで乳がんを発症した人に聞いてみると、家族や親族に乳がんの人がいる。そして若い乳がん患者さんは、進行してから見つかるケースが多く再発の確率も高い。』

と中村清吾先生ら乳腺専門の医師は経験されていたようです。 

 

そこで遺伝性乳がんの共同研究を行ったところ、

遺伝性乳がんの患者さんは、 予想よりも多く欧米並みの割合であることがわかりました。※3

 

この事実により、遺伝性乳がんに対するパーソナルゲノム医療が本格的に動き出しています。

 

 

◉遺伝性乳がんが心配な人はどうすればいいのか?

遺伝性乳がんが心配な方は、以下7項目を確認してください。

 

①40歳未満で乳がんを発症した血縁者がいる
卵巣がんになった血縁者がいる
③血縁者に乳がんを2個以上発症した人がいる
④血縁者に男性乳がんになった人がいる
乳がんになった血縁者が自分を含め3人以上いる
⑥BRCAという遺伝性乳がんの遺伝子変異が確認された血縁者がいる
⑦抗がん薬、分子標的薬、ホルモン療法薬での治療が難しかった乳がんの血縁者がいる

 

もし、7項目のうち1つでも当てはまる場合は、一度乳腺専門医に相談をするか、遺伝性乳がんにかかわるカウンセリングをお願い致します。

 

相談できる医療機関がどこにあるのかは、下記のサイトを参照してください。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の疾患情報サイト 

 

 

 

※1参考資料

国立がん研究センターがん対策情報センター

日本対がん協会

 

※2参考資料

NCCNガイドライン

 

※3

Cross-sectional analysis of germline BRCA1 and BRCA2 mutations in Japanese patients suspected to have hereditary breast/ovarian cance

 

 

《参考》

スペシャルインタビュー:乳がん検診特集3 乳がんのリスクは、DNAが知っている。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の遺伝子診断 BRCA1/2遺伝子検査のご案内|遺伝性乳がん・卵巣がんについて知る