『パーソナルゲノム医療』時代のはじまり

個人個人の遺伝子を解析し、それぞれに適した医療をする時代がすぐそこに

ゲノム創薬と開発競争

大阪での研修医生活も終わりが近づく頃、

山之内製薬藤沢薬品工業が合併し、『アステラス製薬』になるという話を製薬会社の医薬情報担当(通称MRさん)の方に教えてもらった。

 そして同じ年、第一製薬三共株式会社も合併して、第一三共株式会社となった。

 

『世界市場で生き残るために合併することになったんだと思います』

というようなことをMRさんが話ししていたのをかすかに覚えている。

 

しかしそういった努力にも関わらず、2012年の医薬品売り上げランキングの上位10位内に日本の製薬会社の名前はない。(単位は百万ドル)

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日本勢では、

 

武田薬品工業 14位

アステラス製薬 18位

第一三共 19位

大塚ホールディングス 20位

エーザイ 25位

田辺三菱製薬 31位

中外製薬 35位

 

となっている。医薬品の売り上げ上位は欧米系に独占されてしまっている。

新薬を使用する場合、欧米系の製薬会社への知的財産権の使用料(特許料)が年々増加していくのが現状だろう。

 

そして将来の医薬品の開発競争の場は、ゲノム創薬の分野が主流になっていくと思う。

ゲノム創薬とは、病気と遺伝子の関連を解析することによって、効率的に、より論理的に、科学的に新たな医薬品を創造すること。

 

もし、このゲノム創薬の分野での新薬開発が欧米を中心として進んでしまうとどのようなことが起こるのだろうか?

 

ドラッグ・ラグの問題をみるとその将来像が想像できる。

海外で承認されているが、日本では承認されていない薬が多数存在するのだ。

日本のドラッグラグは平均して1,417日間(2004年)であり世界38位であり、OECDはこれを他国並みに改善すべきと日本に対して勧告している。

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欧米系の製薬会社がゲノム創薬の分野で特許を独占してしまうと、これらの新薬の価格が高騰し、医療費はどんどん膨らんでしまう。そうなると、意識的に海外で開発された新薬の承認を送らせ医療費を抑制しようとして、さらにドラッグラグの問題は悪化してしまうのではないだろうか。

 

医療の分野での膨大な額の輸出超過という事態を招き、日本の国富を損失することにもなってしまう。

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最悪の場合は、国民医療費の高騰により保健医療制度が破綻してしまうかもしれない。

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そうならないためにも、日本が世界に先駆けてパーソナルゲノム医療を実現させていかなければならない。