『パーソナルゲノム医療』時代のはじまり

個人個人の遺伝子を解析し、それぞれに適した医療をする時代がすぐそこに

人類皆キャリア

遺伝子検査が徐々に身近な存在になりはじめている。

 

そんな中、積極的に遺伝子検査をして将来の病気にならないように予防しようとする人がいる一方で、遺伝子検査をすることで何か重篤な遺伝子の欠陥が見つかったらどうしようと心配される方もいる。

 

その心配は至極もっともであるが、重大な事実を見落としている。

この世に存在する人で遺伝子の欠陥のない人はいないということだ。つまり人類すべてがなにかしらの遺伝的欠陥を持っている、人類皆キャリアなのだ。

 

具体的には、

常染色体劣性遺伝による病気は、1万人から10万に1人の割合で起こることが多い。例えば4万人に1人と大変稀な病気であっても、キャリア(保因者)の頻度は100人に1人である。

常染色体劣性遺伝の病気は700種類以上知られているが、キャリアの頻度を仮に100人に1人とすると、平均して1人あたり常染色体劣勢遺伝の病的遺伝子を約6〜7個もっていることになる。(少数ではあるけれどもまったくキャリアでない可能性もある)

 

糖尿病などの生活習慣病や癌、心臓病や認知症など「よくある病気」と関係する病的遺伝子の場合、さらにこの数は途方もなく多くなる。

 

大切なことは人類皆キャリアであるという事実に基づいて、個人個人が病気に対する遺伝的脆弱性を正しく理解し、それぞれが病気にならないように予防していくことだと思う。

 

もちろん遺伝子検査をすればなにかしらの遺伝的欠陥がみつかるだろう。

あなたに遺伝的欠陥があっても精神的に落ち込む必要はない。また遺伝的欠陥があるからといって他者を差別することも無駄である。

 

 

多くの人が遺伝子検査を安心して受けるようになり、その結果をもとに病気を予防する時代がくることを願ってやまない。