『パーソナルゲノム医療』時代のはじまり

個人個人の遺伝子を解析し、それぞれに適した医療をする時代がすぐそこに

炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学

研修医になりたての頃、先輩から創傷治癒の分野で衝撃的なこと発言をする人がいると教えてもらった。

 

『傷は絶対消毒するな!』

 

で有名になった夏井睦先生だ。

今では消毒しないのが当たり前になっているが、当時は傷を消毒するのが当たり前だった。

 

好奇心は旺盛だったので、

夏井先生の『傷は絶対消毒するな!』の主張について、医学(科学)的にどうなのかしらべてみた。

 

するとアメリカの論文で、

手術部位に対して、水(生理食塩水)で洗ったものと、イソジン消毒をしたものとで感染率を比較したものがみつかった。

その結果はなんと、水で洗うだけの方が感染率が低かったのだ。

 

そこで患者さんの同意を得て、水で洗うだけで消毒をしない治療をしてみた。

 

すると圧倒的に消毒しないほうが傷の治りが早い。治るのが早いだけでなく、きれいに治るので、とても喜ばれたのを記憶している。

 

『傷=消毒』から、傷の状態にあわせて創傷処置のやり方を変えるというパラダイムシフトが起きた瞬間だった。

昔からの加持祈祷・おまじない医療ではなく、科学的根拠に基づいた医療(Evidence based Medicine)の大事さを知った出来事でもあった。

 

 

創傷治癒の分野でパラダイムシフトを起こした夏井睦先生が、

新たに糖尿病の分野で、いや、栄養学の分野でパラダイムシフトを起こそうとしている。

 

それが、『糖質(炭水化物)は嗜好品だ!』という主張である。

 

『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』という本をじっくりと読んでみた。

研修医のときに感じた、パラダイムシフトが起こるようなドキドキ感を再び感じることが出来た。

 

この本はおすすめだ。